ここ、退魔屋本舗黒猫支店(たいまやほんぽくろねこしてん)は
相変わらずの有様だった。
世にはびこる妖(あや)しのもの
――つまり妖魔の類――
を祓うのが彼女、白鳥深琴(しらとりみこと)の仕事。

なんだけど……この事務所はなぜか、年がら年中お金とは縁がない。
「依頼が入ったニャーー!!! 
四十九日ぶりのマトモな依頼だニャーー!!!!」
使い魔の夜の声がわびしい六畳間に響く。

黒猫支店恒例の「素敵な温泉宿でスノボ三昧」という武の言葉に
まんまと騙されすったもんだの末に、とある温泉宿から依頼を受けた。
今回の依頼は「村に春が来ない原因を探って欲しい」というもの。

双子の妹の白鳥武、親友の香山水依、幼馴染で腐れ縁の橘木ヤマト、
そして強力な仲間の九重鈴子と共に雪の降り積もる村へ向かう。

一行を迎えたのは意外にも綺麗な宿と、
優しげに微笑みを浮かべたちょっとエッチな宿の主人だった。
エロ話に花を咲かせ意気投合するヤマトとエロジジイ。

しかし、お気楽なヤマトとはうらはらに、
村中には不可解な妖気があふれており……

深琴「よーし、行ってみるしかないみたいね! 行動あるのみよ!」
武「そうね、まずは周りの妖気がどうなっているのか、
実際に見てみないことには……」

かつて鉱山町として栄えた集落に今、何が起こっているのか――
渦巻く雪夜叉の呪いが、今、黒猫支店に襲い来る……